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第167号インダストリオール・ウェブサイトニュース

トルコの金属労組、未曽有のインフレ下で勝利

2024-01-19

2024年1月19日:トルコの金属労働者は、数カ月に及ぶ断固とした争議行為の結果、部門レベル団体交渉で大きな意味のある勝利を達成した。トルコが急激なインフレ率をはじめとする経済問題を抱えている中で、金属部門が多額の利益と記録破りの収益を上げているにもかかわらず、労働者は警告ストや動員、各種の行動を実施した。


数カ月間の交渉を経て、インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合の加盟組合3団体(トルコ・メタル、ビルレシク・メタル・イス、ウズチェリク・イス)は、大幅な賃上げの確保に成功した。最初の6カ月間の総賃上げ率は98%である。社会的給付を含めると、この増加は実に105.1%に達する。

トルコ・メタル会長のぺヴルル・カヴラクはこう述べた。

「約束どおり、トルコ建国100周年に100%を超える昇給を獲得した。インフレ率が上昇する中で生活費が高騰し、特に賃金労働者に課題を引き起こしている。そのような時期に私たちは、自分たちが代表する金属労働者が人間の尊厳に値する生活を送れるようにするために交渉の場で闘った」

ウズチェリク・イスのユヌス・デイルメンジ会長は次のように述べた。

「私たちは長く困難なプロセスを経て、組合員とその家族を笑顔にして安堵させる形で、組合員の要望と期待に沿ってMESSグループ労働協約に署名することに成功した」

ビルレシク・メタル・イスのウズカン・アタル会長が述べた。

「金属労働者は、数カ月にわたる厳しい断固たる闘いの結果、今日、大きな成果を達成した。私たちは何カ月も、『私たちは勝つ、金属労働者は勝つ!』、『金属労働者が勝てば、すべての労働者が勝つ』と言ってきた。金属労働者が勝ち、労働者階級全体が勝った! 私たちは勝った!」

2023年9月、加盟組織3団体は同時の交渉努力を開始し、400の職場で働く15万人以上の労働者に影響を及ぼした。しかし、11月に交渉が行き詰まり、その後決裂、賃金問題をめぐる意見の相違を解消できなかったことが主な原因で、組合はストを決行した。

使用者団体MESSは交渉中に長期間、協力しようとしなかったため、組合側は争議行為を起こすに至った。史上最高のインフレ下で金属労働者の購買力が低下している問題への取り組みをMESSが拒否したことが原因で、交渉は紛争に発展した。

トルコ統計局(TÜİK)によると、2023年に消費者物価は64.77%上昇した。しかし、この統計の正確さは一般に広く疑われている。独立した立場の学識経験者の集団であるENAGrupの推計によれば、2023年のインフレ率は127.21%とはるかに高い。

2023年12月7日、トルコ・メタル組合員数千人が、イスタンブールのMESS本部とさまざまな地域事務所に黒い花輪(注)を置くことによって不満を表明した。その後、トルコ・メタルは1月9日に1日ストを組織し、1月11日にMESS協約の対象となるすべての職場でシフト交代時に抗議行動を実施した。

ビルレシク・メタル・イスも警告ストによって争議行為を実施。これにより、3回の交替勤務の間に1時間生産が停止し、1カ月半にわたって毎週合計6時間のストライキが行われた。加えて、ビルレシク・メタル・イスの組合員は、MESS傘下工場がある都心で集会を開いた。

2024年1月17日に結ばれた協約の主な要素は以下のとおりである。

  • 金属労働者にトルコの異常なインフレを補償する賃上げ(2年間の協約期間全体の保証を含む)
  • 最も賃金の低い労働者向けの特別な賃上げ
  • 祝日の超過勤務手当の改善
  • 勤続年数に見合った特別追加
  • 小さな子どもの親と身体障害労働者向けの特別休暇

インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のイザベル・バルト共同書記長代行は、トルコの組合の強さと闘志を称賛し、彼らの偉業を祝福する。

「トルコの金属労働者は、記録的なインフレに直面して基本的なコストに対応し、適正な生活水準と人間の尊厳を守れるように、生産性と利益の公平な取り分を要求したにほかならない。記録的な輸出高と売上高で、企業には明らかにその余裕がある」

ケマル・ウズカン・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長も、トルコの金属労働者の注目に値する成功に関心を示した。

「深刻な経済・社会状況下で、トルコの金属労働者は何と大きな偉業を達成したことか。金属労働者は力を合わせて勝利を収めた。ストも行わずに、そのような素晴らしい協約を達成するという形で、団結を示した。ブラボー!」

注)トルコでは伝統的に、「黒い花輪」は一般に抗議行動で、または哀悼の印として使われるシンボルである。抗議の文脈においては、特定の状況や企業、決定についての悲しみや不満を表す。

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