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第192号インダストリオール・ウェブサイトニュース

人権デュー・ディリジェンスはグローバルサウスの重要原材料に不可欠

2025-06-02

再生可能エネルギーシステムへの世界的な移行に伴い、特にグローバルサウスの資源豊かな地域からのリチウムやコバルト、ニッケル、銅のような重要原材料に対する需要が高まっている。5月22日のウェビナーで強調されたように、この需要急増は採掘作業における確固たる人権デュー・ディリジェンス(HRDD)の差し迫った必要性を強調している。


このウェビナーは「重要原材料とHRDD:グローバルサウスの機会」と銘打って開かれ、ラテンアメリカ、東南アジア、サハラ以南アフリカのインダストリオール・グローバルユニオン地域事務所と加盟組合から40人が参加し、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合と南アフリカの西ケープ大学からも講演者が出席した。

ウェビナーでは、世界的なエネルギー移行と、鉱物資源の豊富な地域(特にサハラ以南アフリカ)への社会経済影響との相互作用を調べた。議論の中で、人権侵害と環境悪化を軽減するために、責任ある鉱業保証のためのイニシアチブ(IRMA)のような枠組みに代表される責任ある鉱業慣行の必要性が強調された。リサイクルも、新しい採鉱への依存度を下げる部分的な解決策として取り上げられたが、その拡張性は依然として限定的である。

コンゴ民主共和国の人権派弁護士セオドア・カムウィムビが、同国の鉱業部門を厳しく評価し、人権および労働者の権利の侵害と環境悪化に立ち向かうために、責任ある鉱業慣行が緊急に必要とされていると力説した。

進歩的な鉱業法と労働法があるにもかかわらず、実施は大幅に遅れている。カムウィムビは、危険な労働条件や差別、健康リスク、労働組合活動に対する制約、強制労働・児童労働、環境違反、セクシャルハラスメントなど、侵害が広く見られるという証拠を提示。企業の隠蔽と政府による不十分な執行が、これらの問題を悪化させていることを示す報告を引用した。ジンバブエの労働組合は、リチウム採掘部門で国家が中国の多国籍企業と共謀し、結社の自由と組合組織化努力を妨害していると報告した。

インダストリオール・ヨーロッパ労働組合のソフィー・グレネイドが、コンゴ民主共和国、南アフリカ、中国のような国々からの重要原材料への依存をめぐって欧州連合が講じている対策について概説した。EUのグリーンディール産業計画と重要原材料法は、持続可能性を促進しつつサプライチェーンを確保することを目指している。企業持続可能性報告指令や企業持続可能性デュー・ディリジェンス指令といった主要な規制は、2026年から企業にサプライチェーンリスクの報告・対処を義務づけている。しかしグレネイドは、一部の使用者がこれらの規制は競争力を低下させると主張して抵抗しており、その長期的な実施を不透明にしていると警告した。

グレン・ムプファン・インダストリオール鉱業担当部長が、「企業の情報公開の監視とリスクマッピングの実施」によってHRDDを促進するうえでの労働組合の役割を強調。多くのアフリカ諸国に全国行動計画がないことを指摘し、組合に計画の採択・執行を支持するよう促した。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長が、「公正貿易と責任ある投資、現地の鉱物選鉱を確保する」ために、グローバルサウスで企業に責任を負わせるために不可欠な拘束力のある国際・国内規制の必要性を強調した。

重要鉱物資源に関する組合戦略をめぐる議論は、インダストリオール・サハラ以南地域事務所が人権デュー・ディリジェンスとアフリカの工業化に関してそれぞれ9月、11月に開催する会議で継続する。

【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/human-rights-due-diligence-an-imperative-for-critical-raw-materials-in-the-global-south

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