テスラの紛争がスウェーデン現代史上最長のストに
2025-09-18
10月27日でテスラに対するIFメタルのストが2周年を迎え、現代スウェーデン最長のストライキになる。中央調停局が関与したIFメタルとスウェーデンのテスラ経営陣との会談後、進行中の紛争において、両当事者がテスラ工場の労働協約をめぐり依然として平行線のままであることが明白になった。
会談でテスラは頑なに労働協約に反対し続けた。IFメタルは、スウェーデンの経営陣は現在、労働協約に署名したり、労働組合が関わる協定を結んだりする権限を与えられていないと考えている。
「IFメタルの明確な目標は、もちろん、テスラも含めてスウェーデンの労働市場全体に労働協約を適用することだ。その目標に変わりはなく、長期にわたって続く紛争は激しさを増している」とマリー・ニルソンIFメタル/インダストリオール会長は言う。
IFメタルによると、交渉の際、テスラがスウェーデンの労働協約の基本的要素を反映する条件変更を検討する気さえないことは明らかだった。これには次のような変更が含まれる。
- いわゆるベンチマークに沿った定期昇給
- 他の自動車工場の従業員が労働協約で与えられているのと同様の労働時間短縮
- 労働協約に盛り込まれた条件と一致する年金解決策
スウェーデンの他の数組合が、いわゆる同情ストに加わっている。中央調停局との会談終了後、電気技術者を組織化している組合Elektrikernaが封鎖を拡大し、組合員が担当しているテスラ関連の仕事すべてを対象に含めている。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
「スウェーデンの労働市場と自社の労働者を完全に軽視するテスラの態度には驚かされる。団体交渉は労働者の基本的権利であり、スウェーデンの労働市場が拠って立つ基礎の1つだ。私たちは、世界中のインダストリオール組合員5000万人が、スウェーデンでスト中の労働者と連帯して立ち上がっているというメッセージを繰り返す」
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/tesla-dispute-becomes-longest-strike-in-modern-swedish-history
リベリアのアルセロール・ミッタルで組合が労働協約に署名し、労働者の給付が増加
2025-09-22
インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織のリベリア統一労組(UWUL)は9月10日、アルセロール・ミッタル・リベリアと第6次労働協約を締結し、同国の鉱業部門の労働・生活条件改善に向けて重要な一歩を踏み出した。
この3年協約は労働者に大きな利益をもたらす内容で、同労組が交渉力を強めていることだけでなく、リベリアの労働運動の支援において国際連帯が重要な役割を果たしていることも反映している。協約が締結された今、採取産業に大きく依存しているリベリア経済は、企業収益性と公平な富の分配とのバランスを取るよう迫られている。
新しい労働協約にはアルセロール・ミッタル・リベリア労働者の14.5%の昇給が盛り込まれており、インフレ圧力によって近年実質賃金が目減りしていることを考えれば、これは特筆すべき業績である。リベリア統計局の推計によれば、リベリアの消費者物価指数は2024年に約10%上昇しており、今回の昇給は労働者の購買力を守る重要な緩衝材となっている。さらに、この協約は住宅手当の75%増額も確保し、手ごろな価格の住宅を入手しにくい状況が続いている鉱業地域の労働者にとって、最も差し迫った問題の1つに取り組んでいる。同社は労働者の住宅所有支援も約束している。
さらに、この労働協約は給与からの控除なしで15日の年次休暇を導入し、従業員のワーク・ライフ・バランスを大幅に改善している。5日の父親の育児休暇が盛り込まれていることは、男性優位の産業にあって家族への責任の重要性を認めた結果であり、リベリアの労働情勢における前進を示している。健康保険範囲も拡大され、労働者の扶養家族が含まれるようになった。世界保健機関によると保健医療へのアクセスが制限されているリベリアにおいて、これは重要なことである。協約は保険範囲の拡大によって労働者の家族の金銭的リスクを軽減しており、これも自己負担医療費が高い国にあって重要な要因である。
協定の成功は国際連帯に支えられている。UWULは、全米鉄鋼労組(USW)、オーストラリア鉱業・エネルギー労組(MEU)およびインダストリオールからの技術支援のおかげで交渉力を強化することができた。
60カ国以上で事業を展開する世界的な鉄鋼会社アルセロール・ミッタルは、リベリアの鉄鉱石部門で数千人を雇用している。この部門は同国経済の基礎であり、リベリア中央銀行によると2024年に輸出収入の65%を占めていた。
リベリアにとって、この協約は団体交渉が今なお未発達な他の産業に先例を示す。鉱業部門はおよそ1万5000人の労働者を直接雇用し、間接的にさらに数千人を支えており、労働者の権利をめぐる主な戦場となっている。
「アルセロール・ミッタル労働者が交渉チームを支援したことを称賛する」とデイブ・セネーUWUL書記長は言う。
「この労働協約は、アルセロール・ミッタル・リベリアの労働条件改善の重要な手段だ。UWULが労働者の生活を改善する協約を確保したことを称えたい」とインダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所のポール・フランス・ヌデソミン所長は言う。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/more-benefits-for-arcelormittal-workers-in-liberia-as-union-signs-collective-agreement
造船・船舶解撤労働者が国際協力を強化
2025-09-24
造船・船舶解撤アクショングループは9月16日にオンライン会合を開き、昨年のグラスゴー世界会議で達成された進展を足場に前進した。
日本、韓国、シンガポール、オーストラリア、イギリス、アメリカ、チリ、ブラジル、フィンランド、デンマーク、ノルウェー、インド、バングラデシュから約40人が集まって充実した議論に参加し、この部門で国際協力が深まっていることを示した。
造船業は、力強いが一様でない成長を特徴としている。コンテナ船の注文は依然として多いが、関税が世界貿易に影響を与えると予想されるため、造船業のこの分野は不安定である。防衛ならびに国際防衛協力への投資が増加しており、根底にある地政学的緊張が原因で組合に課題をもたらしている。
この産業の特徴は熟練労働者の不足であり、不安定移民労働者の利用が依然として問題となっている。専門的作業のための国境を越えた計画的配置転換が一般的になりつつある。オーストラリア造船労連のグレン・トンプソンが国際組合協力協定をめぐる議論を主導し、組合は海外赴任の際に互いの組合員を支援することに合意した。
ILO部門責任者のキャスパー・エドモンズが、東アジアが優位を占めて新造船総トン数の93%を建造し、このうち47%が中国で造られていると説明した。しかしヨーロッパには、非常に複雑な船を造る経済的に重要な専門的産業がある。
大部分の労働者が今なお高齢の男性ブルーカラーで、労働者に占める女性の割合は9%以下、若年労働者は16%に過ぎない。雇用条件に大きな差があり、フォーマル労働者は賃金が高いが、不安定な移民の条件は悪い。
米国は、造船能力を大幅に高め、北極氷原の後退が原因で重要性が高まっている北の海上交通路を利用できる、極地船を建造する計画を立てている。アメリカの組合は、トランプの「造船業を再び偉大に」計画を未組織労働者による低コスト造船の試みとしてはねつけ、この産業は大きな不確実性に直面していると述べた。
ILOの予想によると、IMOが策定した脱炭素化計画は、造船、改造、代替燃料生産、燃料補給の分野で最大400万人のグリーン雇用を創出する可能性がある。
日本の組合は、日本では出生率が低いため、造船業で労働者が不足していると報告した。組合は造船業復活に向けた政策パッケージをまとめた。これには公共投資や民間部門との提携、船体の重要材料指定、船舶設計を改善するための技術開発、訓練拠点の設立、より多くの外国人労働者の受け入れが盛り込まれている。
韓国の組合KMWUからの報告によると、先ごろ労働法改革案が可決されたのは造船所での51日に及ぶストの成果であり、弾圧にもかかわらず、造船所が相変わらず労働組合の闘争性の基盤であることを示した。アクショングループは、ストの最中に高さ60メートル近いクレーンの上で座り込みを実施している現代重工業支部長ペク・ホソンを支持する決議を可決した。
イギリスの造船所では26型フリゲート5隻を建造中で、ノルウェー海軍からも5隻の注文が入っている。フィンランドでは2隻の周遊船を建造中、ノルウェーは風力タービン作業船を生産している。
会合では、香港条約の発効と、それが労働者の安全にもたらしている効果について議論した。香港条約は、この部門の加盟組織が支援する世界的なキャンペーンの大勝利である。インドの造船業は香港条約にほぼ準拠しており、予想される船舶解撤ブームに備えている。しかしバングラデシュでは、一連の事故により、紙に書かれた遵守が労働慣行の変化にまで及んでいないことを示している。これは会合開催中に、8人の労働者が爆発で重傷を負ったとの知らせが入ったときに確認された。
ウォルトン・パントランド部門担当部長は次のように述べた。
「加盟組織が専心と連帯を示してくれたことに感動している。全世界で賃金・労働条件を引き上げるために一丸となって取り組みたいという意欲があり、国際協力が具体的な成果を上げている」
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/shipbuilding-and-shipbreaking-workers-strengthen-international-cooperation
政治的混乱が続く中で労働者の権利を擁護
2025-09-26
アジア太平洋地域の労働組合は、政治的混乱が深まり、地政学的紛争が拡大し、右派政治が台頭する中で、人権および労働者の権利を擁護するために統一行動を呼びかけている。
金子晃浩インダストリオール・グローバルユニオン副会長は、9月22日にジャカルタで開かれたインダストリオール・アジア太平洋執行委員会で開会の辞を述べ、この地域で人権侵害と民主主義の原則の浸食が広く見られることを強調した。
金子副会長は、ミャンマーで軍事独裁政権が続き、バングラデシュとフィリピン、韓国で労働者・民主主義が攻撃され、日本では最近の選挙で右派勢力が勝利を収めたことを指摘した。
「右派ポピュリストが勢いづいており、労働者・組合にとって今後の深刻な懸念事項となっている。私たちは労働組合として、社会の安定と労働者の生活を守るために重要な役割を果たさなければならない。国境を越えて組合の力の構築と労働者の組織化を続け、人工知能、グローバル・サプライチェーンの人権侵害、気候変動、公正な移行といった新たな問題に取り組まなければならない」と金子副会長は述べた。
ここ数カ月の間に、地域の組合は先例のない規模で結集している。インドでは、2億5000万人の労働者が退行的な労働法と契約労働化に反対するゼネストに参加した。バングラデシュでは、インダストリオールとグローバル・ユニオン・フェデレーションが、労働者の権利を向上させるためにILOロードマップの下に結集した。
韓国では、組合が反組合的な政策に抗議し続けた結果、労働組合・労使関係調整法(TULRAA)が修正された。この改革は、下請労働者が元請使用者と交団体交渉を行えるようにし、ストに起因する損害の賠償を請求する使用者の能力を制限している。
労働安全衛生は依然として緊急の懸案事項である。パキスタンでは2025年前半に、およそ100人の労働者が炭鉱事故で死亡した。インダストリオールとオーストラリア鉱業・エネルギー労組(MEU)は、鉱山の安全向上への要求を支援し、パキスタンによるILO第176号条約批准を求めて運動している。
2025年6月の香港条約発効後、南アジアで政労使円卓会合が何度か開催されている。バングラデシュでは、いくつかの解撤場が技術的改良を加えているが、多くの現場はまだ紙の上でしか遵守していない。パキスタンでは、相変わらず条約の範囲外で船舶解撤が行われており、労働者が無防備な状態に置かれている。東南アジアの組合も2025〜2026年安全衛生ロードマップを作成、熱ストレスに焦点を合わせ、化学物質に関するILO第170号条約の批准を求めて働きかけ、労働安全衛生委員会のマッピングを実施した。
ジャカルタ会合の参加者は、シドニーでの来るインダストリオール大会に向けて変革的アジェンダも取り上げた。女性参画目標が達成される予定であり、グローバル青年委員会――および任意の地域青年委員会――の設置決議に検討を加える。
第4回大会まであと6週間となり、地域執行委員会は、大会の成功を確保するためにオーストラリアの組合への支援を誓約した。主要なテーマは、世界的不平等、不安定雇用、労働安全衛生、グローバルな労使関係、人権デュー・ディリジェンス、資本の説明責任、公正な移行、持続可能な産業政策などである。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は述べた。
「あとわずか1カ月余りで開かれるシドニー大会は、インダストリオールにとって決定的な瞬間だ。成功させるためにオーストラリアの加盟組織と熱心に協力しよう。一緒に大会を盛り上げてほしい。大会で団結して明確なードマップを策定し、公正な未来を求めてともに闘わなければならない」
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/defending-workers-rights-in-a-time-of-political-turmoil
シドニー大会を前に女性労働組合員が平等への下準備
2025-09-29
11月にシドニーで開かれるグローバル女性大会(スローガンは「誰もが平等に」)と世界大会を控えて、インダストリオール準備女性大会は、ジェンダー平等、女性の権利、参加・参画をより強く要求するための土台作りをした。
このオンライン会合(9月18-19日)はインダストリオール女性大会の第一歩として、これまでの進展を見直し、絶えざる課題を明らかにし、向こう4年間の優先事項を概説した。クリスティーナ・オリビエ書記次長が参加者に対し、業績をじっくり検討し、障害に立ち向かい、ジェンダー平等の促進に向けた将来の行動を明確にするよう促した。
「ジェンダー平等は男女の争いではなく、すべての集団の団結と強さ、包括性の構築が狙いだ。全員が関与しなければ進歩はない。特に指導者は、すべての労働者を本当に代表する組合を構築する責任を共有しなければならない」とオリビエは述べた。
パネルディスカッションでは、女性組合員たちが各地域の経験を共有した。モロッコUMT繊維のソウマイア・ムーキルが、繊維部門の長時間労働、低賃金、社会的給付の欠如について語った。ノルウェーNITOのエマ・エルランセンが、STEMの女性にとっての障害と、技術プログラム受講生の少女を通して少女たちに刺激を与えようとする努力を強調。米USWのウィメン・オブ・スチールのランディー・ピアソンと、USW国際副会長兼インダストリオール北米副会長のロクサーヌ・ブラウンが、多様性・公平性・包括性に関する政治的後退を警告し、組合が地域社会で交渉や教育、積極的行動によって抵抗している実態について説明した。
公益事業労組(PUWU)のジョイス・マク・アッピアによるプレゼンテーションは、ガーナでは法的保護があるにもかかわらず、組織的な障害のせいで女性の所得が男性より34.2%少ない現状を明らかにした。PUWUは、360人の女性出納係が失業せずに高賃金の上級職に移行に移行できるようにする訓練・教育を取り決め、出産休暇中に給付を確保し、女性の昇進や技術職への公平なアクセスを強く要求した。同労組の活動は、ジェンダー賃金格差を埋めるには、研究と教育、指導部の関与に支えられた計画的・持続的行動が必要であることを示した。インドネシアCEMWUのアイラ・ライラ・ブディマンが、衣料、繊維、医薬品、セメント、パルプおよび製紙部門の93社で、GBVHに対するゼロ・トレランス方針の採択・実施を目指す交渉による進展と進歩を発表した。並行して、8社で社内に女性労働者のためのシェルターが設置され、これによって報告事例が増加している。使用者は予防処置を講じている。これらの施設は、重要性の高い事例について社内メカニズムを政府機関と結びつけている。
組合とインダストリオールの優先事項に関するセッションでは、アルゼンチンCNTI CTAAのアレハンドラ・アングリマンが、無給の介護の不平等な負担に取り組んで、ケアを人権と認め、社会全体に責任を再分配する必要性を強調した。フィンランドPROのターニャ・レートランタが、特にメンタルヘルスと心理社会的リスク(家庭内暴力関連のリスクを含む)に関して、ジェンダーに対応した労働衛生の重要性を力説し、個別的アプローチが必要だと述べた。ガーナPUWUのベネディクタ・オポク=メンサーが、所属組合が企業の移行にジェンダー視点を統合し、訓練プログラムで女性割り当て40%を確保するとともに、エンジニアリング部門の採用でジェンダーパリティーを達成したことについて話した。
会合では、より包括的でジェンダー平等な組織機構を通して組合の力を構築する方法を調べ、女性の動員とリーダーシップを強調した。インドSMEFIのサンジョット・バダブカールが、安心してネットワーク構築やメンタリング、草の根の女性と指導部との関係作りができる場の創出にあたって、インダストリオール・インド女性委員会が役割を果たしたことを強調した。女性の動員や勧誘には、状況に応じた大胆な戦略が必要な場合がある。タイでは、自動車部品・金属労組がスポーツ大会を通して未組織のホワイトカラー女性労働者を関与させ、50人を超える新規組合員が加入した(ビパワン・ボクサンテア)。
変化は女性だけが主導するのではなく、集団で推進しなければならない。男性の同盟者を関与させることが鍵となる。スペイン・バスク地方のELAは、参加型プロセスによってフェミニスト実践を受け入れ、まず構造的バイアスの診断から始めた。アイトール・ゴメスが、これは組合員が本当のジェンダー視点が欠けていることを認識するのに役立ち、討議のきっかけとなって男性の抵抗が和らいだと述べた。これは男性が、目的は男性を差別することではなく、協力して家父長制的な文化を変革し、男女双方がより大きな自由を享受できるようにすることだと理解するうえでも役立った。インダストリオール・ジェンダー平等タスクフォースのピーター・グリーンバーグ(IAMAW)も、女性の闘いに対する男性の認識を高めるために訓練が必要だと力説した。
全体会議は、包括的な組合慣行、家族に優しい活動、メンタリングの強化、労働者ではなく政府による社会的保護責任の負担を強調した。代議員は、平等を実現するには指導部の男性が責任を共有し、組合がLGBTQIコミュニティーも含めた全労働者を代表する必要があると力を込めた。
これらの結果は11月3日の女性大会を方向付け、11月4-7日のインダストリオール世界大会に送り込まれる。世界大会では女性が代議員の40%を占め、若年労働者が初めて代表を獲得する。女性大会では、インダストリオールの2025-2029年ジェンダー平等/女性の権利枠組みを設定する。
加盟組織は、女性の権利の世界的な後退に抵抗し、全世界で女性のリーダーシップを強化することも誓約した。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/women-trade-unionists-prepare-ground-for-equality-ahead-of-sydney
インダストリオール、バングラデシュ政府に香港条約実施を要求
2025-09-30
バングラデシュの船舶解撤場で労働災害が続発していることを考慮して、インダストリオールはバングラデシュ政府に対し、すべての船舶解撤場で香港条約を完全に遵守させ、船舶解撤産業を安全かつ公平で持続可能にする拘束力のある措置を採用するよう求めている。
9月第1週に、バングラデシュの船舶解撤場で起こった別々の事故で2人の労働者が重傷を負った。その後、9月16日にチッタゴンのZiri Subedar船舶解撤場で、油除去班の少なくとも16人の労働者が機関室で作業をしていたときに火災が発生した。8人の労働者が重度の火傷を負い、うち4人が重態と報告された
これらは孤立した事故ではなく、香港条約に定める手続きや手順の不遵守を反映している。インダストリオールとバングラデシュの船舶解撤部門の加盟組織が収集したデータによると、今年に入って30件を超える労働災害が発生しており、41人が負傷、4人が死亡した。
バングラデシュでは、船舶リサイクルは産業省の管轄下にあり、同省はバングラデシュ・シップリサイクル委員会(BSRB)を設置した。BSRBは、解撤場の法令遵守を証明し、海岸への引き上げや切断を許可する所轄官庁として機能している。BSRBは産業省や他の政府機関のメンバーで構成され、船舶リサイクル使用者連盟のメンバーが加わっている。この委員会には労働者代表がいない。
インダストリオールが最近いくつかの解撤場を視察した結果、目に見える技術的改良が加えられていても、多くの解撤場が紙の上で遵守しているだけで、労働者の生活を守るために必要な労働慣行の変更を加えていないことが分かっている。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
「香港条約の発効にもかかわらず、バングラデシュの船舶解撤場で今も労働災害が発生していることは受け入れがたい。バングラデシュ政府は、労働者の安全に政治面・技術面でもっと精力的に取り組んでいることを示す必要がある。労働者が生計を立てるために命を懸けるようなことがあってはならない。私は政府に対し、このプロセスにおいて労働組合を対等なパートナーとして認めるよう要請する」
インダストリオールが9月10日にチッタゴンで円卓会議を開催した際、部門の労働組合は、船舶解撤産業の統治、特にバングラデシュ・シップリサイクル委員会の機能に組合が平等に参加し、この産業が本当に安全かつ持続可能であり続けるよう支援することの重要性を何よりも強調した。
【原文記事URL】
IndustriALL calls on Bangladesh government to enforce HKC | IndustriALL