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第50回定期大会 - 活動方針に対する産別の意見・要望と本部答弁

2011年09月06日

加盟5産別から2012年度活動方針案に対して原案賛成の立場で意見要望が出された。5産別からの意見要望要旨および本部答弁要旨は以下の通り。

自動車総連 | 基幹労連 | 電機連合 | JAM | 全電線 | 本部答弁

自動車総連 春田雄一代議員

IMF-JCの2012年度活動方針(案)について、賛成の立場でひとこと意見を申し上げます。

1.3GUF統合について

・まず初めに、3GUF統合について、2005年5月の第31回IMF世界大会にて「製造業においてグローバル・ユニオン・フェデレーション(国際産別組織)の力を結集する」と決議採択されたことを発端とし、これまでIMF執行委員会・タスクフォース会議を通じてIMF-JCとして積極的な関与をしてきたことと思います。

・IMF-JCが深く関与してきた、新GUF執行委員定数・役員構成・女性の代表制・加盟費・投票権等に対するIMF見解は、5月の3GUF合同執行委員会にて他のGUFより基本的な合意が得られたと聞いています。

・これまでもIGM(イーゲーメタル)に次ぐ第二の組織として、アジア太平洋地域の他組織に対し、タスクフォース会議・執行委員会での議論経過などを説明し、統合議論への参加を求めてきたと思います。

・本年12月ジャカルタにて開催予定のIMF中央委員会での、新GUF結成決議に向け、規約作業部会や、アクションプラン作業部会など、IMF-JCの積極的な参画に期待します。

・また、日本の労働組合を代表する組織として、グローバル経済、市場経済の先頭に立って運動を進め、国際労働運動において中心的な役割を果たすべく、IMF-JCの更なるリーダーシップに期待します。

2.ものづくり産業について

2点目はものづくり産業を国内に残すという点です。

・円高が進行する中、各社が生産を国内から海外に移す動きが加速しています。このままでは、日本のものづくり産業が衰退し、雇用問題に発展していくことが危惧されます。

・日本のものづくり産業は、知識と経験に基づく技術、技能、運用ノウハウなどが競争力の源泉であり、これらを担う人材の確保・育成が重要です。産業の持続性、安定性を鑑みれば、ものづくりはひとづくりといわれるように、人材育成が、ものづくり産業の発展、国内産業基盤の強化に、そして安定した雇用につながるものと考えます。

・自動車総連は、①円高是正についての緊急要請、②国内市場活性化に向けての取り組み、③自動車関係諸税の抜本見直しに向けた活動など、自動車産業におけるものづくりを国内に残す様々な取り組みを進めております。

IMF-JCの活動方針(案)に示されている通り、世界市場をリードする金属産業を再構築し、国内雇用を維持・創出していくため、長期的な観点にたった経営、人材・チームワークを重視した経営、グローバル経済を生き抜く独創性追求の経営を労働組合の立場から促進し、日本国内に金属産業の生産拠点と雇用を引き続き確保していくための積極的な取り組みに期待します。

・2008年秋、リーマンショックから回復基調にあった日本経済も、3月11日に発生した東日本大震災の影響により、当面経済成長はマイナスとなることが予想され、今、日本経済に求められていることは、震災からの復興・再生を早期かつ着実に進めていくことです。

・日本のものづくり産業を守り、IMF-JCの仲間の雇用の安定が震災からの復興・再生の礎となると考えます。

IMF-JC加盟組織が一つの固まりとなり、各方面への取り組みを進めていくことが大切であり、また、IMF-JCがリーダーシップを発揮し、その取り組みを積極的に牽引していくことに期待します。

3.これからのIMF-JCのあり方について

・また、IMF-JCを取り巻く環境が国内外において大きく変化する中、これからのIMF-JCへの期待、特に国際労働運動への期待は益々大きくなっています。こらからのIMF-JCのあり方について、IMF-JCが果たすべき役割と機能を議論・検討し、国際労働運動の強化、JC共闘、最賃センターのあり方など、個々の活動実態を踏まえつつ、あるべき姿を明確にしていくことが必要です。

・自動車総連としても、IMF-JC加盟産別と共に、これからもIMF-JCの活動に、積極的に参画していきます。共に頑張りましょう。

基幹労連 山根孝徳代議員

「金属労協・2012年度活動方針」に賛成する立場で、3点について意見・要望を申しあげる。

金属労協は来年1月より、金属労協と産別との役割分担や活動の見直し、業務の効率化を前提に、会費値下げを行う事としているが、見直す上では「変えられるものを大胆に変える勇気を持ち、守るべきものをしっかり守る志を持ち」、何よりもこの2つを明確に見抜き実行していくことが重要となると考える。

その中でも「春闘におけるJC共闘の枠組み」、「民間・ものづくり・金属としての政策実現に向けた取組」、「国際労働運動の推進」の3点は極めて重要であり、守り強化していくポイントとなると考える。

一方で変化することを決断した以上、大胆に見直すべき点は見直すべきであり、オープンな議論が必要となる。基幹労連としても、十分に議論に参加し、協力・努力していきたい。

その上で、原案賛成の立場で3点の意見・要望を表明する。

1.JC共闘の枠組み

金属労協は、金属産業に働く者にふさわしい労働条件の確立をめざし、「魅力ある労働条件づくり」と「ものづくり産業の競争力強化」の「好循環」の創造、将来へ向けた発展のための「人への投資」を柱に、運動を展開している。

現在、デフレの継続、円高の進行、グローバル化の加速と金属産業を取り巻く環境は極めて厳しく、産業企業は、あらゆる施策を実施している。また電力安定供給に向けた課題などを含め、産業の空洞化が現実問題として懸念されている。さらに、国債の発行残高は天文学的な額であり、年金などの社会保障制度に対する不安も増し、社会保障と税の一体改革が望まれている。

この様な中、ものづくり立国「日本」のものづくり産業の労働者で組織する金属労協の役割はこれまで以上に重要になると考える。金属労協の共闘体制を強化し、日本の労働条件決定をリードする取り組みを展開していかなければならず、今後もこの枠組みを堅持することは重要であり、JC共闘体制の下、金属労協全体の労働条件向上に向けた指導性発揮を要請する。

2.「民間・ものづくり・金属としての政策実現に向けた取り組み」について

資源の安定調達、地球環境対策などへの対応策として、基幹労連においても産業政策の策定に基づく省庁要請活動など、政策実現活動に精力的に取り組んできている。また、東日本大震災の影響により電力問題がクローズアップされ、「安全確保」と「安定供給」が極めて重要な状況となっている。

グローバル化の中で生き残り、この国に金属産業が存在し続ける為にも、ものづくり産業を視点とした政策は極めて重要となっており、これを取り纏め、発信し続けなければならないと考える。さらに政策を実現する為には、自ら発信していくことに加え、ナショナルセンター連合の中で「民間・ものづくり・金属」として、連合政策へ意見提言していくことも重要である。したがって政策立案機能を強化するとともに、連合など関連する団体と連携し実効ある取り組みを推進することを要請する。

3.「グローバルな環境変化に対応した国際労働運動の推進」について

IMFの中核組織としてJCの国際労働運動は重要性を増している中、国際機能のさらなる強化策として「製造業3GUF統合」に向けた方向性が決定している。

しかし、新国際組織における金属労協の役割と任務、アジア地域における活動の継続性、会費統一問題など、多くの整理すべき課題があり、組織統合に伴う問題点についてもきめ細かな検討が必要である。全体合意での意思決定を行うためにも、基本事項を明確にし、日本を含めた地域組織機構への影響など、継続した議論と理解活動を行い、国際労働運動の推進に向けて一層の尽力をいただくよう要請する。

以上、求心力ある金属労働運動の強化と更なる運動基盤の構築に期待し、基幹労連を代表しての意見・要望とする。

電機連合 矢木孝幸代議員

本部原案に賛成の立場で以下の3点について、意見を申し上げます。

1.製造3GUF統合問題について

まず1点目は、製造3GUF統合問題についてであります。

より強力なグローバル製造労働者組織を設立しようとする趣旨については、理解するところでもありますし、その機能を十分発揮することにより、われわれの国際労働運動の推進に大きな力となることが期待されます。

一方で、加盟費の問題や国内組織のあり方など、今後の金属労協の組織や活動を左右することにもなる大きな課題を抱えることに繋がることにもなります。新組織設立に伴い、国内組織との連携強化については積極的に取り組んでいくべきと考えるものの、将来的な組織のあり方については、これまで金属労協として大事にしてきた「民間・ものづくり・金属」の立場を重視した組織のあり方論議をお願いしたいと考えます。また、現在のそれぞれの組織の財政規模には違いがあり、加盟費についても違いがあると伺っています。加盟費問題については、単に加盟費だけでなく、資産を含めた財政状況を踏まえた議論をすべきと考えます。JCの会費の値下げを提案されている中では、議長あいさつにもありました通り、加盟費の値上げは受け入れられる状況にはなく、あらためまして強く主張いただきたいと思います。

私共としましてもJCが新組織においても大きな発言権を持ち、その役割と責任を果たしていくために、精一杯バックアップしていくことを前提に要望とさせていただきます。

2.「会費値下げ」と「具体的な活動内容今日的な意義の精査」について

2点目は、「会費値下げ」と「金属労協の具体的な活動内容の今日的な意義の精査」です。

すでに議長から、冒頭挨拶にてお話しがありましたが、電機連合としては原案賛成の立場で、「組織運営検討委員会」の積極・果断な判断をお願いする次第であります。

国際機能の強化とグローバル化に対応した国内機能の整理を基軸に、活動全体をあらためて評価・精査する中で、強化すべき活動はより強化し、そうでない活動は英断を持って収束を図るなど、「本来やるべきこと」の整理をつけて、財政的にも濃淡をはっきりさせていただければと思います。

3.JC共闘の強化について

3点目は、JC共闘の強化についてです。

JC共闘の重要性については、議案書にあるとおりであり、特に賃金一時金にその成果を発揮していると実感しています。

労働条件の改善という面から見ると、賃金・一時金の改善だけでなく、労働協約の改善など広く取り組むべき課題があります。昨今の経済情勢や闘争の状況を見ると、その重要性は増して来ているものと考えます。

より一層JC共闘を強化するために、労働協約等の項目についても、製造業の労働組合として、思いを同じにして闘争に取り組むことが必要であると考えます。

電機連合としても、微力ながらその一端を担いたいと考えています。

JAM 大野弘二代議員

本部原案に賛成の立場で以下の2点について、意見・要望を申し上げたい。

1.金属労協の組織改革についての意見

①組織改革の第一歩として活動の見直し、業務の効率化、産別との役割分担の見直しを前提に構成産別の財政状況も勘案して会費の改定を先行して提起されたことに、賛同し評価をしたい。

②組織改革にあたっては、連合運動の強化、3GUF統合への対応、活動の効率化など幅広い観点からの検討をお願いしたい。

③次回第51回定期大会で中長期の組織運営の答申が提起されるとのことだが、もっとも大事なことは民間・ものづくり・金属の立場から連合運動をどう強化していくかということであり、そのために、金属労協としてどういう組織の在り方が望ましいのか、連合金属部門との組織の重複をどう整理するのか、過去の経緯にとらわれず、大胆な方針提起を期待する。

2.ものづくり産業の技能継承について

若年労働者の製造業離れなど、熟練技能者の育成が課題となっている。JAMは本年4月より厚生労働省のものづくり立国推進事業を受託し、労働組合としてはじめて取り組む「熟練技能継承事業」をスタートさせた。現在、埼玉、岐阜、大阪の3府県の工業高校に高度熟練技能者を派遣し、生徒や教員への実技指導を行っている。8月末現在でのべ2,179人が受講しており、来年1月末では3400人程度になる予定であり、想定以上の成果が上がっている。今後、ニーズのある中小企業への派遣や、対象地域の拡大などを検討している。派遣される熟練技能者の方はJAMだけでなく金属労協構成産別の企業の方も数多くいらっしゃる。感謝申し上げるとともに、今後も更なる協力をお願いしたい。ものづくり産業の人材育成や技能の継承のために、行政にお願いするだけではらちがあかない。ものづくり産業に関わる労働組合の主体的な取組が求められる。

金属労協として、こうした構成産別の取組について様々な面からのバックアップをお願いしたい。

全電線 阿曽正之代議員

JC2012年度活動方針(案)に賛成の立場で、全電線として数点述べさせていただきます。

はじめに「金属労働運動の強化と組織運営のあり方」についてですが、引き続き現時点で想定される検討課題を分野ごとで整理して頂き、効率的な運動の構築、組織運営が図れるように、JCが果たす役割とあるべき姿などについて、しっかり論議が出来るような取り組みをお願いするところであります。

特に、新GUFについてはIMF-JCの役割が最も重要と認識しておりますので、積極的に国内組織での役割強化に携われるような取り組みをお願いするところであります。

2点目は「金属産業にふさわしい労働条件の確立」についてであります。

金属産業を取り巻く環境等につきましては、引き続き、厳しさが予想されるところでありますが、今後も日本経済を支えていくためには、金属産業が持続的な発展をしていかなければなりません。

このようななか「賃金」の取り組みについてですが、「魅力ある労働条件の構築と競争力強化の好循環」を作り上げるとのことではございますが、JCの共闘強化による金属産業全体の底上げや格差解消に向けた取り組みにつながるような効果的な運動の展開をお願いしたいと思います。

「ワークライフバランスの実現に向けた取り組み」についてですが、長時間労働の是正に関しては、過重労働の防止、メンタルヘルス対策の観点からも重要なものと認識しています。そういったことから、年間総実労働時間の短縮を出来るような実効性ある取り組みを強化していただきたいと考えます。

「60歳以降の就労確保」についてですが、2013年4月から、公的年金の報酬比例部分の支給開始年齢が引き上げられることから、60歳以降の就労希望者全員の安定雇用が重要と認識しているところではございますが、各産別の共通の課題となりますので、JCが主体で情報を共有できるような取り組みをお願いしたいと思います。

3点目は「民間・ものづくり・金属としての政策実現に向けた取り組み」についてですが、3つの柱を軸に民間・ものづくり・金属としての観点に立った政策制度の実現に向け、積極的な働きかけをしていくことを期待します。また、わたしたち金属産業が引き続きグローバル経済をめざして行くうえでも、TPPへの参加は不可欠となりますので、その実現に向けた取り組みを強化していくべきと考えます。

最後に「グローバルな環境変化に対応した国際労働運動の推進」についてです。IMFの2009~2013年のアクションプログラムは、具体的な実施段階に入っていますが、特に「多国籍企業別労働組合ネットワークの構築」については、健全な労使関係を構築する上で、重要な運動と認識しております。この運動を各産別・各単組がより一層取り組みやすいようにJC主体で強化を図って頂きたいと思います。

以上、補強意見・要望を述べさせていただきましたが、全電線としましても、過日開催された第65回定期大会にて2011年度運動方針補強を確認したところであります。これに基づき活動を推進するなかで、JC共闘の一員としても、本方針に対して最大限の努力と積極的な運動を展開することを申し上げ、賛成意見とさせていただきます。

本部答弁:若松事務局長

自動車総連の春田さん、電機連合の矢木さん、JAMの大野さん、基幹労連の山根さん、全電線の阿曽さんと、それぞれの産別を代表しての貴重なご意見をいただきました。ありがとうございました。

先ほど提案したJCの活動方針は、加盟各産別との十分な協議のもと策定されていますし、各種会議、委員会の場でもご意見を拝聴しています。さらには、JCの活動方針大綱は西原議長の挨拶でも触れられた通りでありますが、事務局として若干のコメントをさせていただきます。

各産別から、いただいた主な意見・要望は、1)製造3GUFの統合における積極的な役割の発揮とグローバルな連帯の推進、2)JC共闘と総合労働条件の改善、3)民間・ものづくり・金属としての政策実現と国内ものづくり基盤の維持強化、4)組織運営の効率化と改革の推進などであります。

1)製造3GUFの統合における積極的な役割の発揮とグローバルな連帯の推進

昨年の大会で設置した「組織運営検討委員会」でも、JCが将来進むべき方向として、グローバルな連帯の強化、すなわち国際運動の一層の推進は、JC全体で合意を得ることが出来ました。その国際運動の強化について言えば、JCの主張が国際的に影響力を持つかどうか、これはひとえに国内外の活動の如何にかかっていると思います。

国内での、賃金・労働条件改善の取り組みや政策・制度、産業政策の取り組み、教育・女性活動、地方を含む金属部門としての活動、そして国際連帯活動、こういった実績を重ねてこそ、IMF-JCが国際労働運動の中で重きをなしていくことができるわけであります。

また、日系企業で海外労使紛争が発生し、日本の本社に働きかけようとした場合、国内活動で様々な実績を上げ、信頼関係を構築している組織だからこそ、問題の解決に寄与できるものと自負しております。狭義な意味での窓口機能、外務省機能のみならず、築き上げた国内活動あっての国際活動であるということを十分にご理解いただき、活動への一層の参画、支援もお願いいたします。

先週の木金(8/30~31)に、ジュネーブで製造3GUF統合後の規約やアクションプランを検討する作業部会が開催され、国際局の岩井部長と出席してきました。

JCはあらかじめ論点を整理し、英語に翻訳の上、他のGUFの委員にも全員配布し、必要な個所は発言を求めて、新しいGUFの進むべき方向やルール作りについて、意見を提起してきました。新しい組織の運営や組織構成、会費の徴収基準、地域機構のありかたなど、多岐にわたる意見・方針提起など行いましたが、先ほど申し上げたように、JCの国内活動や国際的な連帯など、総合的な運動の積み上げの成果として、その主張は重みを持って受け止められたものと思います。

また、明日からはIMF本部の要請により、昨年のIMF世界大会で除名された台湾のIMF-ROCCを訪問してきます。台湾国内で対立する我々の各産別の仲間である組織を訪問し、大同団結と国際連帯への理解を得て、国際舞台での安定した活動が行えるよう、サポートしてくるつもりであります。

2)JC共闘と総合労働条件の改善

次にJC共闘、賃金・労働条件改善の取り組みについてであります。労働協約改善の取り組みを強化せよ、税・社会保障の一体改革の中で、ものづくり産業に働く者の組織であるJCが賃金・労働条件決定をリードしていくために共闘を強化せよ、金属産業全体の賃金の底上げ、格差解消、年間総実労働時間の短縮、60歳以降の就労確保の取り組みを強化せよ、といったご意見を頂戴いたしました。いずれも全くご指摘のとおりであると存じます。

まず60歳以降の就労確保については、2012年闘争で決着をつけるべく、一層の取り組み強化が求められ、差し迫った問題であります。各産別とも、これまで取り組みを強化してきましたが、働き方や処遇などを含めて、一歩踏み込んだ取り組みを推進している基幹労連の検討状況なども踏まえつつ、再度基本的な考え方と実現に向けた戦略・戦術を議論して参りたいと思います。年間総実労働時間の短縮については、その必要性については当然でございますが、折しも、電力供給不足による節電対応で、大震災以降、出退勤時刻や休日の変更、残業、休暇などが激変をしているところでございます。こうしたものはあくまで短期的、時限的な対応でありますが、一方で、こうした対応をきっかけに、働き方そのものに変化の兆しがあるのかどうか、そのあたりを十分に検証いたしまして、どのようなタイミングで、どのように労働時間短縮の取り組みを進めていくか、積極的に検討して参りたいと存じます。

税・社会保障の一体改革の中での賃金・労働条件決定ということでありますが、わが金属産業はグローバル経済の真っ只中で、新興国・途上国とも競争しつつ事業をしている産業であり、事業に失敗すれば大企業と言えども企業が消滅し、雇用が喪失する産業であります。こうした産業であるからこそ、責任を持って日本の賃金・労働条件決定をリードすべきと思いますし、その責任・役割を果たしていくため、引き続きJC共闘の強化を図って参りたいと存じます。また、税・社会保障の一体改革の中で、賃金・労働条件はどうあるべきなのか、例えば消費税引き上げの場合には、どのように対応すべきなのか、賃金・労働政策の中で、あらかじめ研究を深めておくことが必要なのではないか、と考えているところであります。

3)民間・ものづくり・金属としての政策実現と国内ものづくり基盤の維持強化

「民間・ものづくり・金属」としての政策実現に関しては、日本国内に金属産業と雇用を確保していく取り組みを強化せよ、「民間・ものづくり・金属」としての政策立案機能を強化し、連合と連携して実効性ある取り組みを推進せよ、とりわけTPP参加の取り組みを強化せよ、とのご意見をいただきました。

まずTPPについては、現在、TPPの参加国拡大に伴う、新しいTPPの交渉が行われております。日本もこの交渉に参加できればベストでしたが、そのような状況にはなっておりません。早ければ11月には、新しいTPPの具体的な中身が明らかになりますので、そうすれば反対論の根拠のほとんどが杞憂であった、ということになるのではないかと思います。残された課題についてさらに議論を深め、早期の参加をめざして行きたいと存じます。TPPが日本の再生にとって不可欠な要件であることは、言うまでもありませんが、同時に、アジア・環太平洋諸国において中核的労働基準を確立するという意味を持っていることも強調したいと存じます。

1ドル=70円台の超円高、電力供給不足と電力料金の上昇、そしてTPPをはじめとするFTA締結の遅れ、これはもう日本で「ものづくり」をやってくれるな、ということに等しいくらい、厳しい状況であります。日本で「ものづくり」を維持できなければ、日本の将来がどのようになるのかということは、容易に想像できるのではないでしょうか。そのことも意識して、本日の第50回定期大会記念講演では、国際競争の第一線で活躍してこられた吉川良三氏に、「危機の経営-国内ものづくり生産基盤の生きる道-」と題した講演をしていただくことにしました。厳しいグローバル競争の中で、サムスンの経営拡大に多大な貢献をしてこられた吉川氏から見た、日本のものづくりの方向について考える場にしていただきたいと思います。

また、野田新内閣の下で円高への対応策も協議されていますが、実効ある強力な対策実現に向けて、労使を含めた金属産業の力も結集すべきと思います。

また、連合全体として「民間・ものづくり・金属」の観点に立った政策の推進がされますよう、引き続き連携を強化して参りますと共に、連合全体での合意形成の難しい問題については、IMF-JCとして、責任を持って役割を果たしていく所存でございます。

なお、ものづくり産業の技術・技能の継承・育成や、人材確保の観点からのものづくり教育の強化については、金属労協の地方ブロック、地方連合金属部門連絡会において、積極的な取り組みを展開していただいております。金属労協組織内の組合が実施する「ものづくり教室」も、まもなく丸8年を迎え、4千名に近い子ども達に参加していただいている実績がございます。来年4月に策定する「地方における政策・制度課題2012」において、ものづくり教育に関し、一層の強化を図っていきたいと考えます。

こうした中で、JAMさんで取り組んでおられる、「熟練技能継承制度」についても、JC全体でバックアップできるよう、取り組んでいく所存です。

4)組織運営の効率化と改革の推進

最後に会費値下げと組織運営の問題でございます。会費値下げについては、おおむねご理解をいただいておりますが、そうした中で、「本来やるべきことを明確に」、「変えられるものを変え、守るべきものを守れ」、「新GUFにおいて、役割を果たせるような国内組織の役割強化を」とのご意見をいただいており、具体的には、「JC共闘」「民間・ものづくり・金属としての政策実現」「国際労働運動の推進」の3点は極めて重要である、とのご指摘をいただいております。

JCの財政については、長年続いてきた経常赤字を改善すべく、運動の効率化と事業仕分け、為替予約の積極的な活用などで、ようやく安定した財政運営ができる状況となってきました。ここにきて、加盟産別の組合員減少や連合の会費値上げなどあり、一段の効率化と役割の見直しなどが一部産別から提起され、会費の値下げに踏みきることにしましたが、そのためには固定費や強化すべき国際活動の見直しなども含め、3~4年単位で健全財政の構築に向けて取り組む必要があります。この間の財政基金積立金の活用なども含め、JC産別一体となった取り組みを進めたく、ご理解とご支援をお願い致します。

なお連合金属部門については、金属として、連合の部門の位置づけ、役割の強化、いわゆる「連合の部門運営」を主張してきた経過があることは、ご承知のとおりでございます。しかしながら、今のところ具体的な前進が見られる状況となっておりません。引き続き、連合の動向を注視し、必要な対応を図っていきたいと存じます。

以上、事務局からの回答とさせて頂きますが、

東日本大震災においては、地震発生のその日から安否や激励のメールが世界中の仲間から寄せられ、さらには4800万円もの義援金を頂きました。力強い国際連帯の風を背に受けながら、IMFのスローガンである、「Secure Jobs for a Secure Future」「確かな雇用 確かな未来」の実現に向けまい進していく所存であります。われわれ金属産業の組合員200万人の連帯のもと、安心・安定の社会を構築すべく、ともに頑張りましょう。ありがとうございました。

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