2004年闘争推進集会 交渉状況
報告する團野事務局長
電機連合
自動車総連
JAM
基幹労連
全電線



電機連合
■今年は春闘改革による2年サイクルの「総合労働条件改善闘争」の年で、労働協約関連項目など、多岐に亘る課題を要求基準に掲げて交渉している。
■賃金体系維持は、35歳技能職と30歳技術職から選択するエントリー制で取り組む。一時金は17中闘中10組合が業績連動方式。残り7組合が4.5カ月〜5.64カ月の範囲で要求。労協関連項目のうち、@次世代育成支援対策推進法への対応、A配偶者出産時の休暇の充実(5日間)、B時間外労働の特別条項の適切な運用、Cキャリア開発支援の取り組み、を新規に設定し取り組んだ。
■経営側は、@今年度の業績が第4四半期に入ってからかげりが出ており減速の可能性が大きい、Aグローバル競争が激しくなる中でより一層コスト競争力が必要、B現行の賃金水準はまだまだ高く、総額人件費の適正化が必要と主張している。
■電機連合は今次闘争の位置付けと要求の趣旨を重く受け止め、「賃金体系の維持」としての個別賃金水準の確保、業績反映としての一時金水準の改善、労働協約関連課題を含めた総合的労働条件の進展をめざす。

自動車総連
■自動車総連全体で約4割、450程度の組合でベア要求を行う見通し。メーカー組合では2社がベア1,000円を要求。一時金は、メーカー組合では1組合を除き昨年獲得実績以上を要求。長時間労働の是正についても、多くの組合が労使で論議を深めている。
■組合側は、組合員が生み出した成果を訴えるとともに、産業・企業を支え、今後の発展の原動力となるのは「人」の力であり、その意欲・活力を高める回答が必要であるということを強く主張。
■会社側は、「人」の重要性を認めながらも、未だ不透明な経済情勢、国際競争の激化、為替動向などを背景に、具体的要求項目に対しては極めて慎重な姿勢をしめしている。
■交渉の中では、会社の経営状況・ビジョン・取り組むべき課題、職場の実態など労使で認識を共有化し、長時間労働の是正など働き方の改善についても労使協議を深めていく。そして、メーカー組合等主要組合を中心に、3月17日の統一回答日に向けて、組合員のモチベーションアップに結びつく賃金引き上げ・一時金の回答を引き出すべく、交渉を追い上げていく。

JAM
■JC集中回答日前後の段階では、賃金構造維持分確保を相場として定着させるとともに、その一週間後に、中小・地場組合支援の取り組みとして、中小単組を中心に一つでも多くの回答引き出しと妥結を目指し、全体の相場を形成していくことが当面の最重点である。
■中小への取り組み強化として、賃金構造維持分が確認できない場合5,200円の平均賃上げを要求。この結果、多くの中小組合が昨年4,000円台の要求水準を今年5,000円台へとシフトし、要求底上げの効果があった。
■交渉単位組合数は1,749組合(昨年比▲43組合)。平均要求額がわかる593組合の加重平均は5,756円。賃金構造維持分要求は262組合で平均源資4,914円。
■経営側は、デフレやユーザーサイドからの強力な価格改定圧力、円高や社会保険料負担増など、先行きの懸念材料を前面に押し出し、厳しい対応。
■回答日に向けて、情報の連絡・集約体制を強化し、賃金構造維持分の明示を全体のものとすると同時に、個別賃金の水準明示を促進する。

基幹労連
■鉄鋼労連、造船重機労連、非鉄連合が集結して「基幹労連」を結成しての初めての闘争。
■基幹労連統一の重点項目として「60歳以降の就労確保」に取り組み。希望者全員への適用について経営側の反発が大きい。組合としては、法改正に先行して労使合意を作り上げることは当然という立場から、引き続き具体回答を引き出すべく努力していく。
■鉄鋼部門は定昇制度に基づく昇給を実施。また中期賃金改善として、2010年という中期的な目標を見据えた、製造業平均への賃金改善を要求(現行30万円を製造業平均31万円へ)。一時金は1組合が年間150万円を要求、他の総合組合は業績連動方式。
会社側は、@固定的・構造的な負担増につながる施策については極めて慎重にならざるをえない、A将来を予知しがたい時代であるからこそ、年度ごとに実現した収益について一時金を通じて適切に還元していく、などと厳しい姿勢を示している。
組合側としては、@長年にわたる日々の着実な労働における成果発揮に対応するのは月例賃金であり、それの果たすインセンティブ機能を正当に評価すべきである、A一時金のみならず基本賃金についても経営としてのメッセージを発すべきである、など中期賃金改善について踏み込んだ主張をおこなっていく。今後の山場に向けて、総合組合を中心として基本賃金において新たな財源投入を含めて検討し、実行することの必要性について明示させるべく努力を傾注していく。
■船重部門は定昇制度に基づく昇給を実施。一時金は3.5カ月+50万円(三菱重工56万円)=約162万円5.0カ月)を要求するも、円高や材料費の高騰など外的要因により業績下方修正をするなど厳しい交渉を余儀なくされている。組合側は一時金を中心にギリギリ絞り込んだ要求であることを主張しながら、業績だけでなく、組合員の協力・努力、生活面への配慮等が大切であることの主張を強力に展開している。企業内最低賃金18歳ポイントの協定については、賃金増額を行わない中での水準改定には慎重な姿勢をくずしていないが、協定化は実現できるものと判断している。
■非鉄部門は、足下の為替や原料高騰など、厳しい経営環境から先行きの不透明感に危機感あり。経営側は、定昇には一定の理解を示すものの、年間一時金(1組合が年間160万円の要求、他は業績連動)は組合との期待値に大きな乖離があるむね主張している。今後、交渉終盤に向けて、最後まで要求趣旨に沿った対応を強く求め、経営の前向きな姿勢を引き出すべく取り組みを展開する。

全電線
■業績にバラツキはあるものの、大手各社が軒並み赤字決算を余儀なくされた昨年からは改善傾向。賃金構造維持に加えて、一時金は昨年実績からの上積みを図るべく年間4.5〜4.6カ月(1組合は4.0カ月最低保障)を要求。経営は、銅価格の異常な高騰に加え、光関連の底なしともいえる需要低迷が想像を遥かに超えて進行している状況を主張し厳しい対応をしている。
■組合側は、生き残りを懸けた事業構造改革を進める中で、は行性はあるもののその効果も現れつつあり、今後についても電線産業の永続的な発展を基本に据え、産業発展における組合員・従業員への適正な還元はもとより、将来にわたって人的活力と企業活力につながるような、中長期的な視野に立った話し合いが必要であると主張している。
■山場に向けて、@賃金については、「賃金構造維持分」は最低限の取り組みであり、水準も含めて確実に賃金構造維持分を確保する。A一時金については、電線産業が昨年対比で概ね回復傾向にあることから、各企業の実態に応じて昨年実績を底辺に上積みを図り、最低でも産別ミニマム4カ月を確保する、との決意で、交渉の追い上げを図っていく。
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