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第75号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2018年1月31日)

トルコ政府が金属産業のストを禁止

2018-01-26

トルコ政府は179の職場を指定し、それらに対してストを禁止する政令を出した
それに対して組合側は金属産業の大幅な労働条件の改善を求め、スト決行を表明した

 トルコにはまだスト権があるのか。答えは明らかにノーである。すべての主要多国籍企業を含めて、トルコの金属部門で179職場・13万人の労働者が2018年2月2日にストに入る予定だったが、「国家安全保障を損なう」という理由で政府によって禁止された。

 金属労働者を代表する3組合(インダストリオール加盟組織のビルレシク・メタル・イスとチェリク・イスを含む)と金属産業使用者団体MESSとの部門レベル交渉の決裂をめぐる争議の結果、ストライキが発表された。

 このストは、2018年1月24日に大統領と首相、全閣僚が署名したあと、1月26日の官報で発表された政令により禁止された。この政令はスト禁止の対象となる179職場を指定しており、その中にはティッセンクルップ、ボッシュ、フォード、メルセデスベンツ、ルノー、シーメンスといった多国籍企業が所有する現場も含まれている。

 ストを禁止する政令が出された日に、使用者団体のMESSは、スト実施日前にもう一度交渉を行うために3組合を招待した。しかし、この政令はそれ以上の労使交渉を禁止している。

 2017年12月初めに交渉が決裂すると、組合側は争議を宣言した。政府の調停者が任命されたが、争議を解決することはできなかった。3組合は1月11~12日にMESSの最終案を拒絶した。金属産業の賃金は低く、労働条件は困難かつ危険である。組合側は大幅な改善を要求している。

 労働組合および労働協約に関する2012年のトルコの法律(第6356号)には、「閣僚会議は、要求または開始された合法的なストまたはロックアウトが公衆衛生または国家安全保障を損なう場合、命令によって60日間にわたり当該ストまたはロックアウトを停止することができる」という規定がある。

 トルコ政府は日ごろから法律第6356号を悪用しており、政府は結社の自由の権利に関するILO第87号条約に違反して、たびたびストを禁止している。トルコの組合は、頻繁にスト禁止令を無視して違法な争議行為を実施しており、場合によっては、禁止令にもかかわらず大きな意味のある勝利を得ている。

 ビルレシク・メタル・イスは反抗的な声明を発表し、次のように述べた。
 「私たちはスト禁止令を認めない! 2月2日にストを決行する。今日は金属労働者として、職場での生産に根差した私たちの力を行使することにより、ストを禁止する当局に対抗する」

 これを受けて、インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパのヴァルター・サンチェス、リュック・トライアングル両書記長はトルコ政府に書簡を送り、スト禁止令を非難した。
 「現与党が政権を握ってから、さまざまな部門で各種のストが14回禁止されました。2017年1月に出された前回の金属産業スト禁止令は、まだ記憶に新しいところです」
 「すでに何度もこの方針を明確に批判してきたように、私たちは今回もまた、トルコ政府による労働者の基本的スト権の露骨な侵害に対して強い非難を表明せざるを得ません。この権利はトルコの憲法と国際労働条約、国際労働機関の法制によって保障されています」

 両書記長は加盟組合を通してトルコの金属労働者にも連帯書簡を送り、次のように述べている。
 「皆様方と連帯して断固たる態度で臨むという両組織のコミットメントを改めて表明します。皆さんは孤立してはいません。皆さんの闘いは私たちの闘いです。そして私たちは、職場と社会で公正が達成されるまで支援を継続します」

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