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第159号インダストリオール・ウエブサイトニュース(2023年9月22日)

グローバル・ユニオン評議会、韓国でヤン・ヘドンの悲劇的な死を招いた目に余る労働者の権利侵害を非難

2023-05-11

【JCM記事要約】

  • 韓国では労働組合への弾圧が続いており、労働組合員に対する政府当局の嫌がらせに抗議するため、メーデーに韓国建設労組(KCWU)支部長のヤン・ヘドンが焼身自殺を図った。さらに韓国では、労働法の限定的定義により、日常的な労働組合活動が違法とされている。これらの労働組合活動と労働者の権利への攻撃に対し、グローバル・ユニオン評議会(CGU)が懸念を表明した。
  • CGUは韓国政府に対し、労働者の基本的権利を尊重し、韓国の労働組合運動の弾圧を中止するよう求めている。さらに、拘束されている労働者の釈放及び起訴の取り下げ、労働組合員に対する中傷や犯罪化の行為を止めることも要求している。

2023年5月11日:ユン大統領就任1周年にあたり、グローバル・ユニオン評議会は世界中で200万人の労働者を代表して、韓国における合法的な労働組合活動と労働者の権利に対する最近の攻撃、司法による嫌がらせ、干渉に関して深い懸念を表明した。


韓国が経済協力開発機構(OECD)に加盟しており、2年前に国際労働機関(ILO)の結社の自由に関する第87号条約と団体交渉に関する第98号条約を批准したにもかかわらず、このような弾圧が続いていることは受け入れがたい。

メーデーに、韓国建設労組(KCWU)支部長のヤン・ヘドンが、労働組合員に対する政府当局の嫌がらせに抗議して悲惨な焼身自殺を図った。その嫌がらせの被害者の1人だったヤンは、残念ながら重度の火傷の合併症で亡くなった。

ヤンは焼身自殺の前にメッセージを残し、合法的に組合の任務を遂行したが、業務妨害と強制、強要の嫌疑をかけられたと述べた。ヤンの焼身自殺は、韓国労働史の最悪の時期を思い出させる。

労働組合員に対する強制・強要という濡れ衣の刑事告発は、ユン・ソンニョル政権の反組合的政策に起因する。政府は労使関係において社会的対話でなく警察力を利用している。建設部門では、警察が組合を標的に特別調査を開始し、通常の労働組合活動が違法とされる結果となった。建設労組を建設現場の組織犯罪集団に例える大統領の反組合的な発言を受けて、警察は意図的にこの論理を利用して組合を中傷し、組合指導者の尊厳を損なった。ヤンは特別捜査の際に警察に呼び出された組合役員950人のうちの1人で、現在、16人がそのような刑事告発で拘束されている。

政府の組合弾圧は建設部門にとどまらず、労働法の限定的定義により、日常的な労働組合活動が違法とされている。例えば、2022年11月に貨物トラック運転手のストが違法と宣言された。大宇造船海洋(DSME)は、スト実施中の生産目標未達成を理由に、5人の組合指導者を相手取って470億韓国ウォン(およそ3560万米ドル、3230万ユーロ)の訴訟を起こした。明らかに、下請労働者による基本的組合権の行使を抑えるための報復である。

ILO、国連条約機関およびEU-韓国自由貿易協定の一部として設置された専門家パネルの明快な勧告にもかかわらず、韓国政府は、国際基準と一致させるための労働組合・労使関係調整法の修正を妨害し続けている。

さらにユン政権は、腐敗と経営上の不正という根拠のない申し立てに基づき、労働組合に対する組織的中傷を開始している。CGUは、当局が労働組合の管理や活動に干渉し、労働組合予算のコピーの提出と労働組合規約の修正を要求していることに、大きな懸念を持って留意した。これはILO第87号条約に基づく結社の自由の権利の重大な侵害である。

ユン・ソンニョル大統領の組合バッシング発言や検察・警察の不法な利用による組合攻撃が生み出す雰囲気は全国の職場に広がっており、労働組合員への暴力的な攻撃が激化している。2023年5月4日、現代自動車とBMWのサプライヤーであるILJIN Hysolusの管理者が、自分の車で現地の労組幹部たちに突っ込んで3人にぶつけ、組合の副議長に重傷を負わせた。

CGUは労働組合活動の犯罪化と、ユン政権主導の労働組合事務所の強制捜査を非難している。韓国政府に対し、国際的義務を果たすとともに、結社の自由に対する権利および団体交渉権を完全に尊重し、韓国の労働組合運動の弾圧に終止符を打つよう求める。

 CGUは、基本的労働組合権の行使を理由に拘束されている労働者の釈放と、彼らに対するすべての告訴の取り下げを要求する。さらに政府に対し、労働組合員に対する中傷や犯罪化の行為をいっさいやめるよう要請する。このような行為は、安定した労使関係の確立に役立つどころか、国内法と国際法で保護されている権利を行使する労働者にとって恐怖と脅迫の風潮を引き起こす。

組織化は権利であって、犯罪ではない。

CGUは、自由と公正を求める進行中の闘いにおいて韓国の労働組合運動を支持し、ヤン・ヘドンのご遺族ならびに所属労働組合に哀悼の意を表する。

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