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第159号インダストリオール・ウエブサイトニュース(2023年9月22日)

欧州議会はミャンマーの軍事政権終了に向けて全力を

2023-05-10

【JCM記事要約】

  • インダストリオールとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、ミャンマーで民主主義の復活をさせるために、軍事クーデター以来4回目の書簡を欧州議会へ送った。両組織は、欧州議会へ対し、外貨が直接政府に渡ることのないよう、資金源を断つなどして軍事政権の阻止に全力を尽くすよう求めている。
  • 労働組合は同国に関する決議にて、MADE in MyanmarプログラムへのEU支援の撤回・武器以外すべて(EBA)貿易特恵の撤回・的を絞った制裁の追加実施・違法な選挙の非難と政治犯全員の釈放の要求、を欧州委員会と欧州理事会に依頼するよう要求している。

2023年5月10日:ミャンマーに関する決議をめぐる5月10、11日の討議と投票に先立って、インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は欧州議会に、2021年2月の軍事クーデター以来4回目の書簡を送った。ミャンマーの軍事政権は民主勢力に対する弾圧を拡大している。欧州議会は、軍事政権の支配を終わらせてミャンマーで民主主義を復活させるために、全力を挙げなければならない。


クーデター後、ミャンマーでは労働運動がほぼ完全に禁止され、多くの労働組合員が逮捕されたり、潜伏あるいは亡命したりしている。それにもかかわらず、労働者組織は地下で活動を続けている。欧州・国際レベルの労働組合は、ミャンマーの労働組合との緊密かつ頻繁な接触を保っている。この機会を利用して欧州議会議員に、今度の決議に関するミャンマーの労働組合運動からの直接要求を伝える。

この決議は、ミャンマーの軍事政権が、一般市民に対する軍事攻撃の強化によって民主勢力の弾圧を拡大しており、4月11日のパジジーへの空爆で少なくとも165人を殺害したことに留意するべきである。政権側は、近づきつつある違法かつ不正な選挙の前に40の政党を禁止し、この選挙を利用して権力支配を強化・正当化しようとしている。

これらの行動は、ミャンマーで民主主義を回復するには軍事政権を倒すしかないこと、貿易を通じて民主改革を促そうとする現在のEU政策が間違っており、逆効果であることを証明している。

軍事政権は、武器や弾薬、エネルギー、部品を購入するために、何としても外貨を必要としている。外貨不足は、おそらく政権にとって唯一最大の脅威だろう。

インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は欧州議会に対し、外貨による資金源を断つなどして、軍事政権の阻止に全力を尽くすよう求めている。欧州企業による経済活動はすべて、ミャンマーに外貨をもたらす。

2022年4月、軍事政権は法律を変更し、24時間を超える外貨の保有を違法とした。外貨は優遇レートで現地通貨のチャットに両替しなければならない。軍事政権はミャンマー中央銀行とミャンマー外国貿易銀行を管理している。つまり、ミャンマーに入ってくる外貨は直接政権に渡るということである。

このため、EUは一連のミャンマー企業に対する重要な制限措置をすでにいくつか採択しており、EU系石油会社に同国からの撤退を求めている。EUの消費者は、ミャンマー製品の購入によって意図せずに軍事政権に資金を供給しているため、EUの衣料ブランドにも同じことを要求すべきである。これをやめなければならない。

ミャンマーの労働組合は、現在のEU政策と、金融・保険部門を除外する制限措置の部分的採択が、軍事政権を財政面・制度面両方で支援し、ミャンマーの民主主義回復努力を損なうことを懸念している。

特に労働組合は、この決議で欧州委員会と欧州理事会に以下を依頼するよう求めている。

→ MADE in MyanmarプログラムへのEU支援の撤回。MADE(ミャンマーのアパレル産業における適正な雇用のためのマルチステークホルダー同盟)は、EUならびに欧州系衣料ブランドの出資によるプロジェクトであり、衣料産業で工場レベルの社会的対話を確立すると主張している。ミャンマーの独立労働組合と労働者団体は、2023年4月の欧州委員会への書簡で、このプロジェクトを非難している。というのもMADEは、偽りの労働者組織の設立、軍に支配された労使関係および社会的対話メカニズムを合法化しているからである。労働者が自分たちの代表を自由に選べない状況では、MADEは軍事政権に金銭的利益を与える粉飾ということになる。ミャンマーにおける結社の自由の侵害に関して進行中のILO調査委員会で、軍事政権はMADEを臆面もなく利用し、ミャンマーには社会的対話と結社の自由が存在すると主張している。軍事政権は現在、国連、ILO、その他の機関に承認されておらず、MADEが政権の国交正常化促進を助長しかねない懸念がある。

→ 武器以外すべて(EBA)貿易特恵の撤回。EBA特恵は、カンボジアの事例で見られたように、15本の中核的な国連・ILO条約の重大かつ組織的な違反の場合に撤回することができる。ミャンマーは中核的条約ならびにEU原則に明らかに違反しており、EUへの特恵貿易アクセスを享受すべきではない。

→ 的を絞った制裁の追加実施。国際銀行ならびにミャンマー中央銀行、ミャンマー外国貿易銀行、ミャンマー投資・商業銀行で、国家行政評議会(SAC)の燃料購買プロセスに関連するすべての国際金融取引を確認し、制裁を科す。これはSACによる残虐行為の継続を阻止するうえで不可欠であり、SACによる武器や弾薬、それに兵士や弾薬を輸送する軍民両用燃料の購入の阻止につながる。

→ 違法な選挙の非難と政治犯全員の釈放の要求。軍による暴力を終わらせ、合法的な労働組合を含む真の民主主義を復活させるために、緊急行動が必要である。

国民統一政府(NUG)は2021年11月の声明で、国際企業は、例えば公益事業や港湾など軍が所有する企業への税金や料金の支払いによって、自社の事業が軍事政権に物質的な恩恵を提供する場合、ミャンマーで活動するべきではないということを明確にした。

その後、法律変更によって外貨を24時間以内に現地通貨と両替することが義務づけられたため、ミャンマーとの取引はすべて軍事政権に利益を与え、軍事政権が権力支配を維持できるようにしてミャンマー国民の苦難を長引かせている。ミャンマーに関する決議は、軍事政権への支援をすべて断つことを目指すべきである。

ミャンマーからの責任ある事業撤退は可能であり、いくつかの世界的衣料ブランドと取り決めたインダストリオール・グローバルユニオンの責任ある撤退枠組みに注目してほしい。この枠組みは、企業がミャンマーで責任を持って活動を終えるために利用できるツールである。

ミャンマーおよび世界中の労働者・労働組合は、欧州議会が民主主義的価値観の擁護者として、軍事政権の支配を終わらせてミャンマー国民に民主主義を取り戻すために全力を尽くすことを期待している。

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