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第159号インダストリオール・ウエブサイトニュース(2023年9月22日)

ウクライナの組合、平和と再建に尽力

2023-04-13

【JCM記事要約】

  • インダストリオールとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、ウクライナの加盟組織と共に共同戦略会議を開催した。会合にて参加者は、ウクライナの地域の人権・労働権侵害の状況や回復と再建について議論し、現場の組合員を守るために、すべての事実を国際機関に報告し続けることを確認した。
  • インダストリオール・ケマル書記次長は、ウクライナ加盟組織との連帯を示し、インダストリオール及びインダストリオール・ヨーロッパ労働組合はすべての努力と資源を結集することによってウクライナの加盟組織のニーズに応え続ける、と強調した。同意された計画を実行に移すため、両組織はILOと協力して数か月以内にキーウにて共同行事を行う予定である。

2023年4月13日:インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は4月11日、ポーランドの国境近くの町ワンツトでウクライナの加盟組織13団体との共同戦略会議を開催し、ウクライナのために団結、連帯、取り組みを強化する今後の行動・活動を計画した。


この会合はインダストリオール・ヨーロッパ労働組合の東部小地域会合の直前に開かれ、ポーランド、チェコ共和国、スロバキア、ハンガリー、スロベニアの加盟組合がウクライナの同志を歓迎した。

参加者は、ロシア連邦に占拠されているウクライナの地域の人権・労働権侵害について議論した。この会合にはウクライナ人権監視団の代表が出席し、労働組合権侵害を報告する最善の方法に関する活動を共有した。

ILO部門別政策局(SECTOR)のキャスパー・エドモンズとILO労働者活動局(ACTRAV)のゴチャ・アレクサンドリアが会合に出席し、労働者の結社の自由に対する権利の侵害、強制労働、安全で健康的な労働環境に対する権利をめぐって意見を交換した。

「ウクライナにおけるロシアによる戦争、占領および攻撃は、我が国の経済に莫大な悪影響を及ぼしている。この会合で諸問題について議論し、その解決方法を見つける機会を得てうれしく思う」と原子力労組Atomprofspilkaのワレリー・マトフ会長が述べた。

農業機械部門では、多くの企業が破壊され、物流と販売が遮断された。エネルギー部門では、砲撃や爆撃、ドローン攻撃によって意図的にインフラが破壊されたが、エネルギー労働者は極めて厳しい状況下で命の危険にさらされながら、何とか変電所と送電線を修理した。

石油・ガス部門では、戦争開始時に真っ先に企業が破壊され、多くの石油貯蔵施設と石油製品が焼き尽くされた。同様に、石油化学会社21社が破壊された結果、環境災害リスクが高まった。

5つの発電所を擁する原子力エネルギー部門は主な標的にされており、チェルノブイリ発電所と欧州最大のザポリージャ原子力発電所が占拠された。報告によると、ロシア軍はザポリージャ発電所を乗っ取って労働者を虐待した。この発電所では、戦前の従業員1万1000人のうち今も残っているのはわずか1200人である。

石炭部門は数々の困難に直面しており、ドネツク地域とルハーンシク地域で10の鉱山が破壊された。2022年11月21日、砲撃による停電の中で約2000人の鉱山労働者が地下に取り残された。ウクライナの鉄鋼業の40%が消失し、マリウポリのアゾフスタリ製鉄所とイリイチ製鉄所が破壊された。ヨーロッパ最大のコーラ工場があるドネツク州のアウディーイウカ・コークは、ロシア軍に包囲された。

参加者は、現場の組合員を守るために、すべての事実を国際機関に報告し続けることを約束した。インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合はILOと協力して、合意された計画を実行に移すために、今後数カ月間にキーウで共同行事を開く予定である。

この会合では、かつてウクライナ経済の根幹であった強力な製造業部門に基づく持続可能な経済によって、平和で繁栄する未来に向けたウクライナの回復と再建についても議論した。支援活動で重要な役割を果たす公正な移行プログラムに照らして産業政策ビジョンを開発するために、一丸となって取り組むことに合意した。

参加者たちは、投資が労働者の権利を犠牲にしてはならないことを明確にした。この文脈において、制定または計画された各種労働法の修正をめぐって議論し、懸念が表明された。ウクライナ加盟プロセスとの関連で国際機関ならびに欧州連合当局とやりとりし、社会条件を要求していく。

「ウクライナはEU加盟候補国の地位を与えられているので、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合ファミリーから強力な具体的支援を受けて、私たちは引き続きウクライナの加盟組織にコミットする。統合プロセスにおいてウクライナの加盟組織に準備させるために、あらゆる努力を払う。もちろん、社会・労働権は今後も優先課題だ」とリュック・トライアングル・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記長は述べた。

「この重要な会合で、私たちはウクライナの同志への揺るぎない支援を繰り返し表明した。両組織は、すべての努力と資源を結集することによってウクライナの加盟組織のニーズに応え続ける。ウクライナの組合は存続可能な社会・経済生活に基づく国の再建において重要な役割を果たしており、私たちは彼らと連帯している」とケマル・ウズカン・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長が述べた。

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