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第160号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2023年9月22日)

G20は労働者の要求に遠く及ばず

2023-09-14

2023年9月14日:このほど閉幕したインド大統領主催のG20ニューデリー・サミットは、20の経済大国で労働者が直面しているインフレ率の上昇、賃金の停滞、移行している仕事の世界の大きな課題に取り組まなかった。


G20首脳宣言は、労働者が直面する課題に対処するための具体的な行動は言うまでもなく、労働者の窮状を有意義な形で取り上げなかった。G20首脳の関心は長期成長の改善に執着し続けており、生活費危機にわずかに言及し、貧困層や最も弱い集団を保護するために的を絞った一時的な財政措置を要求しているにすぎない。

この間、世界中の組合が、インフレ率の上昇を踏まえた賃上げと社会的保護を要求している。インド政府が独立組合のG20参加を妨害し、代わりに右派組合のインド労働組合をL20会合の議長に指名することを決定したあと、9月4-5日にITUCが組織したオンラインL20サミットで、労働組合員と研究者は、すべての国々で強力な最低賃金計画を立てることを支持した。しかしG20首脳は、これに関する計画を概説せず、その代わりに移行している仕事の世界との関連で普遍的な社会的保護の必要についてほのめかした。

この宣言は、労働者の権利や生計へのアクセスに触れていない。「デジタル技能向上・習得プログラム」実施の空約束はあるが、それを誰がどのように実施するかについての約束はいっさいない。世界の労働組合運動は、気候変動の影響を軽減するために仕事の世界で起こりそうな転換に関する議論への参加を要求している。G20サミットは、組合の役割を認めて組合と対話することを拒否した。

インダストリオール・グローバルユニオンのケマル・ウズカン書記次長はL20で、G20以降の公正な移行のための産業政策に関するセッションの議長を務めた。講演者たちは、民間企業主導ではなく国家主導の移行の必要について語った。クリーン経済への移行が進む中で、利益よりも人を優先しなければならない。強力な政労使構造だけが、これを保証することができる。

残念ながらG20宣言は、「成長の加速と持続可能な経済改革の推進における民間企業の重要な役割」と、「緩和の促進と事業を行うためのコストの削減」の必要性を強調した。この動きは多くの国々ですでに始まっており、労働者の権利の浸食を招いている。

首脳宣言は「多国間主義の活性化」の必要性に触れている。L20サミットでは労働組合員と研究者が、グローバル金融構造や国際貿易システムの構造変革など、グローバル経済を動かす従来のシステムの変革を熱心に主張したが、首脳宣言は国際開発金融機関の役割強化に焦点を当てている。

ジャヤティ・ゴーシュ教授はL20サミットで、G20諸国政府の一部が労働者の利益を代表していないことを踏まえて、G20の妥当性の問題を取り上げた。インダストリオール加盟組織は、国の債務問題の反労働者的な解決策に一貫して反対の声を上げている。

G20首脳は、化石燃料から再生可能エネルギーに移行するための具体的な計画も、再生可能エネルギー能力を3倍にする方法も示さなかった。

ケマル・ウズカンは言う。

「私たちは、インドでのG20サミットが世界の労働者階級の差し迫ったニーズに対処していないことに憤慨している。考え抜かれた構造と資金を供給された公正な移行に基づく持続可能な産業政策によって、貧困を根絶し、不平等と闘い、グローバル・サプライチェーンに対する責任・義務を導入し、気候変動をめぐる課題を克服するための行動がない」

「労働運動は、世界中の動員によって私たちの懸念と期待、要求を提起し続ける。もう1つの世界は可能かつ必要だが、そのためには真の政治的な意図と行動が必要だ」

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