グローバル会議で航空宇宙産業の転換の進路を決定
2025-06-19
6月11-13日にカナダ・モントリオールで開催されたインダストリオール航空宇宙世界会議に世界中から労働組合員が集まり、AIやサプライチェーンの変化から包括的な組織化の必要性まで、航空宇宙産業で急速に拡大している課題に取り組んだ。この会議は全米機械工・航空宇宙労組(IAMAW)とユニフォー・カナダが主催した行事で、シドニーのインダストリオール大会に先立って行動を起こすことを強い使命として、明確な進路の設定に焦点を合わせた。
乱気流を回避して前進:変化する産業で転換に備える
クリスティーナ・オリビエ・インダストリオール書記次長が開会の辞を述べ、AIやオートメーション、世界的な再編成に直面して組織化の再考を求めた。
「私たちが集まっている今、地政学的緊張、不平等の拡大、急速な技術変化が見られる。オートメーションとAIが職場を再形成しており、組織化戦略を再考しなければならない」
代議員たちは、この部門はパンデミック後に回復しているが、労働者は今も非常に強い圧力、サプライチェーンの分裂、外部委託、新しい技能への需要の高まりに直面していると強調した。組合は、この産業が成長している地域、特にグローバルサウスで力を構築しなければならない、とオリビエは力説した。
「労働者の力」(FO)のマリア・ペレス共同部会長が次のように強調した。
「この回復は労働者に新たな圧力をかけている。経営側は生産量の増加が主な関心事であり、回復に関連づけて製造プロセスを調整し、私たちの交渉の余地を制限しようとしている。権利を守るために団結と行動が必要だ」
IAMAWのジョディ・ベネット共同部会長が、反労働者勢力の台頭について警告した。
「極右のイデオロギーは、数十年に及ぶ組合の前進を取り消そうとしている。私たちの活動から利益を得ていることさえ理解していない人々も含めて、私たちは今後とも全労働者の代弁機関でなければならない」
ユニフォー・ケベックのディレクターを務めているダニエル・クルーティエが参加者をカナダに歓迎し、現地レベルの闘いは世界レベルの課題を反映していると強調した。ケベックはカナダの航空宇宙産業の半分以上を占めており、同氏は以下のとおり力説した。
「私たちはまたとない機会に恵まれている。公共支出を含む航空宇宙への大規模投資を、強力な現地のサプライチェーンや適正な労働条件と結びつけなければならない。移行は労働者に負担をかけてはならず、私たち抜きではなく私たちとともに形成していかなければならない」
点と点をつなぐ:グローバル・ネットワークの構築
多国籍航空宇宙企業が生産を再編・変更している中で、組合の連携も後れを取らないようにしなければならない。ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール航空宇宙担当部長が、特に大手のエアバスやボーイング、エンブラエルを中心に、また供給部門やGEエアロスペース、サフランといった企業に関しても、グローバル・ネットワークの深みと機敏性を高め、これらの企業がどこで活動していても労働者が発言権を持つようにすることを要求した。これはヨーロッパと北米の既存の拠点を強化するだけでなく、北アフリカ、インド、ラテンアメリカのような成長地域でも積極的に力を構築することを意味する。
重点は明確である――世界レベルで点と点を結び、現地レベルで正確に行動する。
ロイテルトは出席者に、一般論を言うのはやめるよう強く求めた。新しい航空機モデルや合併、移転は単なる見出しではなく、組合が影響を分析し、影響を受ける労働者を確認し、国境を越えて行動を調整する合図である。的を絞ったキャンペーン、情報の共有、産業とともに動く連帯を通して「グローバル・ネットワークを実現しよう」がメッセージだった。
未来に飛び込む:労働者の役に立つ技術を求めて交渉
デジタル化やAIに関する対話から、緊急性と機会の両方が明らかになった。代議員は、これらの技術は航空宇宙産業を変えているが、組合は早期かつ戦略的に行動すれば、まだ道筋を作ることができると認めた。
ユニフォーのエコノミスト、ケイリー・ティーセンが、AIは本質的に良くも悪くもなく、職場でどのように実施・統制されるか次第だと力説。どうすれば組合は交渉によってこれらの結果に影響を及ぼすことができるかを強調した。
「労働者を保護する手段はすでに多くの労働協約に定められており、あとはそれらを戦略的に利用しさえすればよい」
彼女は組合に、再訓練や賃金保護、安全、データ権利に関する文言を取り決めるよう求めた。重要なことには、彼女は、技術変化は何の前触れもなくやってくる場合が多く、労働協約で予想しておかなければならないと警告した。
ユナイト・ザ・ユニオンのマーク・ポーターが、AIはより広いESG(環境・社会・ガバナンス)の課題から切り離すことができないと付け加えた。企業は気候目標の追求や事業の合理化にAIを利用しているため、労働者は重要な決定から締め出される危険がある。
「AIとESGは結びついている。これらの手段はネットゼロの達成に役立つが、労働者が議論に参加しなければ深刻な脅威ももたらす。部外者でいることは許されない」
サプライチェーンと公正なグローバル化
グローバル・サプライチェーンの混乱は、依然として最も緊急性の高い共通課題の1つである。代議員たちは、特に新しい航空機モデルが公表されている中で、外部委託、移転、サプライヤーの疲労が雇用保障や生産安定性を損なっている実態を説明した。
IGメタルのフランク・ベルクマンが、政治主導の貿易制限がこの部門をますます不安定にしており、サプライチェーンを「地政学的な武器」に変えていると警告した。リスクは高い――エンジンやギアボックスのような部品をめぐるアメリカ-EU協力の破綻で、生産が停止する恐れがある。
ICAOへの関与:航空基準に影響を与える
組合は、国際民間航空機関(ICAO)に関与する必要があると強調した。ICAOは、オートメーションや安全、気候に関するグローバル方針について討議・合意する機関である。国際運輸労連(ITF)のガブリエル・モチョ・ロドリゲスが、たとえICAOが組合を直接規制していないとしても、ICAOの活動が労働組合とますます交わるようになっている状況を概説した。
インダストリオールは、組合の声がICAOプロセスに反映されるようにするために、ITFとの協力強化を約束した。「グローバル・ルール作成の場に組合が参加しなければ、私たちの意見を聞かずに基準が押し付けられる危険がある」
飛行計画の見直し:航空宇宙のDEIとジェンダー平等
多様性・公平性・包括性(DEI)に関する精力的なセッションで率直な議論が行われ、会議室に明らかに女性が少なかったことから切迫感が高まった。インダストリオールは40%の女性参画目標を掲げているが、この会議は、航空宇宙部門が実際と代表の両面でまだどれくらい向上しなければならないかを思い出させる役目を果たした。
IAMAWのピーター・グリーンバーグが組合指導部の不備を認めた。
「この産業では女性が増えているが、組合で役割を果たしている女性は十分ではない。IAMAWでは、女性を指導するためにLEADSプログラムを開始したが、それは始まりにすぎない」
ユニフォーのカルメン・ペリーが個人的な課題を発表した。
「誰もが声高に主張するわけではない。私はイタリア人で、率直に発言しているが、多くの労働者は道筋が見えていないので黙っている。そのダイヤモンドの原石を見つけて指導し、自分たちも一員であることに気づかせなければならない」
彼女は会議参加者に、介護を排除の口実に使わないよう強く促した。
ユニフォーのソフィー・アルバートが付け加えた。
「違う方法で先導する女性は、あまりにも頻繁に、やり方が間違っていると言われる。女性に時代遅れの基準への適応を求めるのではなく、文化を再定義する必要がある」
ジェンダーバランスが取れていなかったため、このセッションは必要な反省の時間になった。参加者は、戦略のすべての側面に、追加物としてではなく労働組合変革の中心原則として、ジェンダー平等を埋め込まなければならないという切迫感を新たにした。
戦略的方向と今後の措置
会議の最後に、インダストリオールの航空宇宙活動のための的を絞ったロードマップが発表された。
- グローバル組合ネットワークとグローバル枠組み協定(GFA)を強化
- 東アジアとシンガポールで組合の存在感を拡大
- ICAO/ESG枠組みへの関与を強化
- ジェンダー、ESGおよびAIに関するテーマ別作業部会を開始
- アフリカとアジアで加盟組織のアクセスと参加を改善
ここでのメッセージは明確だった――大まかな発想を協調的行動に移すときである。結果は今年11月にシドニーで開催されるインダストリオール大会に届けられ、航空宇宙部門は、連帯と戦略、労働者主導の転換を原動力に次の章に入ろうとしている。
【原文記事URL】
Unions chart course for aerospace transformation at global conference | IndustriALL